研究課題/領域番号 |
01480374
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩月 尚文 東北大学, 医学部, 助教授 (50004908)
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研究分担者 |
小野 勝彦 東北大学, 医学部, 助手 (70169332)
最首 俊夫 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (30201502)
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キーワード | 完全全脳虚血 / 虚血後脳障害の治療 / カルシウム拮抗薬 / 高圧酸素療法 |
研究概要 |
1.大動脈遮断法により15分間の完全全脳虚血モデルを犬に作製、Ca^<++>拮抗薬であるニカルジピン、フルナリジン、ヂルチアゼムを遮断解除直後より3日間連続持続静注し、非投与群(C群)との間で、虚血後脳神経障害の回復状態を1週間観察し、比較検討した。脳神経障害の回復は、種々の脳神経症状を点数化し、その総合スコア(NRS)を用い判定した(死=0、回復=100)。Ca^<++>拮抗薬のNRSは平均60前後へと、C群に比して軽度ながらより良い改善が認められたが、完全回復には至らなかった。薬剤3剤間には改善に差が認められなかった。死亡率にはC群と差がなかった。したがって、Ca^<++>拮抗薬は虚血後脳神経障害の回復をある程度促進させるが、完全回復させるまでの効果はない。 2.同じモデルにおいて、高圧酸素療法の効果を検討した。対照群は15分の脳虚血のみで高圧治療を行わず2週間観察した。高圧酸素治療群(H群)は、脳虚血後の2時間目と24時間目に、3気圧1時間の高圧酸素療法を行い、2週間観察した。実験は完了していないので現段階までの結果より推察すると、H群において、Ca^<++>拮抗薬投与において認められた以上の著明なNRSおよび死亡率の改善効果が認められている。 3.今後の方針として、部分的効果が認められたCa^<++>拮抗薬とかなりの効果が期待される高圧酸素療法を併用し、脳虚血に対する治療効果をさらに増進させようと考えている。 4.虚血治療による脳組織内カテコ-ルアミン、アセチ-ルコリン、グルタミン酸の推移:現在虚血を付加しない正常脳における上記脳内伝達物質の測定法を確立中である。今後虚血後の変化を追うつもりである。
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