研究分担者 |
難波 正義 岡山大学, 医学部・癌源研究施設・病理部門, 教授 (80069004)
福井 明 川崎医科大学, 麻酔科学教室, 助手 (50189924)
吉田 仁 川崎医科大学, 麻酔科学教室, 助手 (20182777)
大隅 昭幸 川崎医科大学, 麻酔科学教室, 講師 (90140532)
藤田 喜久 川崎医科大学, 麻酔科学教室, 助教授 (10144263)
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研究概要 |
HardingーPasseyメラノ-マBー16腫瘍をBDFマウスの皮下で増殖させ,これをコラゲナ-ゼにより単細胞化後,各種濃度のマイトマイシンCにそれぞれ,5,10,15,20分間曝露させた。そして各細胞集団(それぞれ10^6細胞数)を正常BDFマウスの背部皮下に注入し,その部位における腫瘍発生の有無を移植後3カ月間観察した。その結果この腫瘍細胞の移植を防ぎうる最小曝露時間は15分間,その際のマイトマイシンCの濃度は400μg/mlである(P〈0.05)ことが認められた。 同様の実験操作にもとづく研究をドンリュウラットを用い,ラット肝癌AHー66,ならびにAHー130について行った。すなわち,腹腔内で増殖したこれら腫瘍細胞(遊離腹水内浮遊細胞)を集め,各種濃度のマイトマイシンCに5,10,15,20分間曝露させた。そして各曝露後の細胞集団(それぞれ10^6個を有する)を,正常ドンリュウラットの腹腔内に注入し,腫瘍発生の有無を移植後3カ月間観察した(被検動物に3カ月後にも腫瘍発生が認められないときはエ-テル麻酔下に開腹して生検を行った)。その結果AHー66肝癌(マイトマイシンC低抗株)もAHー130肝癌もともにマイトマイシンC濃度100μg/ml,曝露時間20分(P〈0.05),あるいはマイトマイシンC濃度200μg/ml,曝露時間15分,あるいはこれ以上で(P〈0.05)正常ドンリュウラットへの移植が阻止されることが認められた。 上記の研究から臨床において回収式自己血輸血を悪性腫瘍切除手術に用いる場合,悪性腫瘍除去にマイトマイシンCを用いる可能性が強く示唆された。
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