研究概要 |
研究課題の初年度(平成元年度)では,まずヒト精巣組織の器官培養を用いた実験系でもDNA/RNAレベルの検討が可能なことを確認した後,estーrogenが17αーhydroxylase mRNA及びandrogen receptor (AR) mRNAに及ぼす作用を検討したが,本年度は同様の実験系を用いて以下の検討を行なった. 1.不妊男性の生検精巣組織を器官培養し, ^3Hーthymidine, ^<14>Cーuridineの取り込みによりDNA,RNA合成を評価した.ホルモン非存在下においてDNA合成が少ない精巣組織ほどhMG,hCGを培養液中に加えてもDNA合成の増加率が低いことが判明し,不妊男性に対するhMGーhCG療法の選択に有用な方法と考えられた. 2.Hypogonadotropic hypogonadism患者に対するhMG,hCG剤の有効性を予測するために,生検精巣組織の器官培養を用いてDNA合成を検討した.hCG学独よりhMGーhCG併用の方がDNA合成は有意に増加し,hMGーhCG療法の有効性がin vitroで証明された. 3.ヒト精巣Leydig細胞内にARが存在するか,高純度Leydig細胞を用いて生化学的方法(Binding assay),Western blot,Northern blot,免疫組織学的方法にて検討し,ヒト精巣Leydig細胞内に高親和性ARが存在することを証明した. 4.前立腺癌患者の去勢術の際得られた精巣組織の器官培養を用い,種々のホルモンのステロイド合成系酵素の17αーhydroxylaseや,hCG受容体(hCGーR)への影響を検討した.高濃度のhCG投与によりP450_<17α>,hCGーR mRNAは著明に減少することが判明した.GnRH,Prolactin,FGFは,これらのmRNAには影響を及ぼさなかった.
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