研究課題
1)尿中における好中球の殺菌力:健常人の末梢血をMonoーPoly Resolving Mediumに重層し300gで30分間室温で遠心し好中球を分離後、これらの生細胞数をカウントした。一方、同一健常人の希釈尿と濃縮尿を採取し濾過滅菌したのち両者を7段階に異なる割合で混合し、7種類の異なる尿を作製した。1×10^6個/mlの好中球を各尿に入れ37℃で前培養した後Biolumat LBー9501を用いた化学発光法にて殺菌能の指標である活性酸素産生能を測定した。その結果好中球の活性酸素産生能は尿の浸透圧に最も影響を受け、等張尿中で最大となり、低張尿及び高張尿中で強く抑制された。すなわち、尿路感染症の際に、尿中好中球が細菌を殺菌する良い条件は尿浸透圧が等張となるような利尿を加えた方が有利であることが示唆された。(日本泌尿器科学会雑誌に投稿予定)2)抗菌剤の好中球殺菌能に及ぼす影響:尿中の好中球殺菌能に及ぼす抗菌剤の影響を検討するため、まずリン酸緩衝液中の好中球殺菌能に及ぼす抗菌剤の影響について検討した。100μg/mlから100μg/mlの濃度の抗菌剤存在下において好中球殺菌能の増強は認められず、一部の抗菌剤に好中球殺菌能を抑制する傾向があった。現在、尿中に実験条件を移し検討中である。(CHEMOTHERADYに投稿予定)3)免疫不全マウスの実験的尿路感染症における血中白血球および尿中好中球殺菌能の測定:免疫不全マウスはcyclophosphamideあるいはpredonisoloneをマウスの腹腔内に投与し、尿道より逆行性に緑膿菌を膀胱注入した後ペニスをクランプ、それによって腎孟腎炎を作製したが、今までのところ再現性に難があり、現在腎孟に菌を直接注入することにより腎孟腎炎を作製している。
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