研究課題
1.免疫不全ラットの腎盂腎炎モデルにおける白血球殺菌能と重症化との関連性サイクロフォスマイド処理による白血球減少ラットの左腎に、経皮的に緑膿菌を接種し、実験的腎盂腎炎を作製した。そしてサイクロフォスファマイド投与前と緑膿菌接種時のラットの腹腔より好中球とマクロファ-ジを採取し、それらの殺菌能をケミルミネッセンス法により測定した。好中球とマクロファ-ジの殺菌能はサイクロフォスファマイド投与により著明に低下し、緑膿菌による実験的腎盂腎炎を作製したときに生存率の著明な低下を認めた。また、顆粒球コロニ-刺激因子(GーCSF)を前投与したときには、好中球およびマクロファ-ジの殺菌能は増強され、緑膿菌による実験的腎盂腎炎に対する生存率の改善を認めた。2.免疫不全宿主の尿路感染症に対する重症化予防対策平成元年度から平成2年度までの実験結果では尿路感染症の際に尿中に遊出する好中球は低張尿中で殺菌能が最大となり、これはニュ-キノロン剤あるいはペネム剤のある濃度で増強されることを明らかにした。従って、今年度の実験結果とあわせ、免疫不全患者の腎盂腎炎の重症化の予防対策には、白血球の殺菌能を測定することにより予知が可能で、GーCSFは重症化をある程度予防できると考えられた。また、免疫不全患者に腎盂腎炎が成立した際には、ニュ-キノロン剤あるいはペネム剤のような白血球殺菌能を増強させるような抗菌剤の投与が有用であることが示唆された。
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