研究課題
平成3年度は、実際の体外受精・胚移植患者において、より有効で全な過排卵誘発法の確立、正確かつ簡便な卵胞発育のモニタリング法確立と良好卵の採取時期の設定のための、卵胞発育に伴う血中各種ホモンについての内分泌学的再評価に関して検討を行った。まず、排卵誘発法の確立に関してはPureFSHーHMGーHCGとLHーRH agotを併用する方法が管理しやすく、また採卵数、採卵率、受精率、分率、妊娠率も他法と比較して良好な成績を得ている。この方法を採用た平成3年度における当科の治療成績は、施行周期数111周期、成卵採卵率(99.1%)、受精率(66.7%)、分割率(57.4%)、移植ありの妊娠率(35.5%)と極めて良好な成績であった。一方、血中各種ホルモンについての内分泌学的再評価の成績に関しは、血中LH、FSH、PRL値には特に意義は見出だせなかったが採卵時期の血中エストラジオ-ル(E_2)、プロゲステロン(P_4)推移と妊娠率との間に有意の関係がある結果を得ている。E_2値が1g/mlを越えた日をE_2の初期上昇日とすると、E_2の初期上昇日が月周期の6〜8日目にある群では妊娠率が38.5%であるのに対して、月周期の3〜5日目にある群では6.9%と有意(p〈0.01)に低いことがかった。また、hCG投与日でのP_4値は、妊娠群の0.4±0.1ng/m比して、非妊娠群は1.3±0.3ng/mlと妊娠群が有意に(p〈0.01)に低であった。一方、これらの排卵誘発法を多嚢胞性卵巣症候群患者の排卵誘発に用したところ、PureFSHーHCG法、PureFSHーHMGーHCG法に比較し、LHーagonistを併用する方法は、排卵率、妊娠率は差がないものの、卵巣剰刺激症候群の発生が少なく、多嚢胞性卵巣症候群患者の排卵誘発に用であることが判明した。
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