妊娠110ー130日の羊を用いて、帝王切開術を施行し、一度羊胎仔を子宮外にとり出し(外呼吸しないように操作)、羊胎仔の頚動脈、頚静脈気管支にカニュレ-ションを行い、また心電図をとるために電極を植え込み胎仔を子宮内に戻した。初め、羊(母体)の子宮動脈血流遮断するため母体羊の腹大脈にバル-ンを挿入したが、母体の予後が不良で、羊胎仔の実験が出来なかったため、血流遮断は、臍帯のカフをつけ、これをふくらますことにより行った。子宮内に戻した羊胎仔が、手術前の生理的状態に戻るかどうかの実験では、胎仔の血液ガス、血糖、胎仔心拍数パタ-ン、胎仔呼吸様運動パタ-ンを記録した結果、手術後3〜4日で術前の状態となることが判明し、以術4〜5日より羊5頭を用いて実験を開始した。臍帯にとりつけたカフをふくらませることにより臍帯血流を遮断させると、胎仔心拍数は下降し、変動一過性徐脈が出現した。臍帯圧迫を30秒、resting timeを90秒にして圧迫をくりかえしても変動一過性徐脈はくりかえし起こるが、胎仔血液ガスPHにはあまり変化がなかったが、臍帯圧迫を60秒、resting timeを60秒にすると圧迫を10回位くりかえす頃にはPHは7.20以下になることがわかった。また、PHが7.20以下になる頃より羊胎仔の血中カテコ-ルアミンが急上昇し、ある程度の上昇の後は、ほぼ同じ値を示すことが示唆された。またPHが下降していくと、胎仔心拍数図上変動一過性徐脈の回復時に、胎仔心拍数基線より上昇するover shoot accerelationが認められることが示唆された。
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