研究課題
一般研究(B)
今回われわれは 当院不育症外来における臨床症例の蓄積と解析をおこなうとともに成因解明のために病理組織学的、免疾学的、内分泌学的および生化学的アプロ-チに基づいて以下の成果を得た。子宮形態異常と反復流産に関しては、子宮中隔の血流不足がその一因と考えられ、中隔除去による外科的処置を加えることで着明に流産率が減少することが明らかになった。妊娠維持機構と免疫との関連を追球するために、夫リンパ球による免疫療法前後のMLC、リンパ球サブセット、抗イディネタイプ抗体の変化を検討した。免疫寮法後において、MLCでは著明な抑制がみられ、リンパ球サブセットではサプレッサ-T細胞の増加および細胞障害性T細胞の減少を認めた。また、フロ-サイトメトリ-を用いた二重染色法による解析で、免疫寮法後妻血清中に抗イディオタイプ抗体が存在することが示唆された。これらのことより、免疫療法によって、液性免疫、細胞性免疫両者に免疫抑制機構が働くことが示された。超早期の自然流産に対する検討として、第2世代のホルモン測定法であるサンドイッチの原理による酵素免疫測定法を用い尿中微量hCGを測定した。その結果、月経が遅れることなく発来した症例中にもかなり高卒に超早期流産が含まれることが示唆された。抗リン脂質抗体と自然流産の関連を明らかにするために、Harrisの標準血清を用いたELISA法によって習慣流産患者の抗カルジオリピン抗体を測定した。カットオフ値を6単位と定めると、148例中12例(8.1%)の陽性者を認めた。妊娠第2期以降に自然流産または胎児死亡の既往をもつ症例については50%という高い陽性率を示した。これらの症例に対しては積極的にステロイド、アスピリンなどの投与を行い生児を得ている。
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