研究課題/領域番号 |
01480407
|
研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
齋藤 春雄 高知医科大学, 医学部, 教授 (20026917)
|
研究分担者 |
吉岡 伸高 高知医科大学, 医学部, 助手 (60230687)
岸本 誠司 高知医科大学, 医学部, 助教授 (30115828)
竹田 泰三 高知医科大学, 医学部, 助教授 (50115763)
|
キーワード | 顔面神経麻痺 / 高浸透圧利尿剤 / 虚血性麻痺 / 顔面神経血流 |
研究概要 |
顔面神経麻痺の完治率を上げるために、我々は科学研究費の補助を受け、傷害された顔面神経の減荷術は発症7日までに行う必要があること(中谷'86)、また脳脊髄液腔と顔面神経組織間隙とは交通しており、高浸透圧利尿剤で顔面神経内圧も下がることを世果で初めてつきとめ(竹内'87)、高浸透圧利尿剤で顔面神経麻痺がよく治ることを臨床例でも実証し「顔面神経管内減荷術」と名ずけた(齋藤'88)。 顔面神経の血流をレ-ザ-ドップラ-法で調べると、モルモットでは殆ど中脳硬膜動脈の岩様枝により潅流されていて、迷路動脈はわずかにしか関与せず、茎乳突動脈は膝状神経節を栄養していないことが判明した。また、岩様枝の血流を遮断することにより虚血性ベル麻痺モデル動物を作成することに成功した。さらに、この虚血性麻痺モデル動物の麻痺が神経の膨化によって起こっていることを組織学的に示し、麻痺後の障害度と回復を逆行性顔面神経誘発電位で確かめることが出来た。麻痺動物の麻痺は自然に回復したが、治療を加えなかった動物は病的共同運動を残して回復した。これに反し高浸誘圧利尿剤を投与した動物には病的共同運動は見られず完 全回復を遂げた。レ-ザ-ドップラ-法で調べると、高浸透圧利尿剤は障害のない顔面神経の血流の増大をもたらさないにかかわらず、中等度に傷害された顔面神経の血流を増加した。さらにマイクロプレッシャ-システムを使用して調べると、虚血性顔面神経障害で膨化している状態でも、高浸透圧利尿剤の投与により顔面神経内圧は脳脊髄圧と同期して低下した。麻痺が完成する虚血より3日目までに高浸透圧利尿剤により「顔面神経管内減荷術」を行なえばよいことが分かった。これらの結果は1992年6月ドイツ国ケルン市で行なわれる第7回国際顔面神経シンポジウムにて発表すべく特別招聘されている。
|