研究概要 |
10名の正常人被験者(男性5名、女性5名、年齢26才〜36才、平均29才)の絶対暗室における調節安静位は0〜1.3(平均0.63)ディオプタ-(以下D)であった。このことは暗所において正常人は平均0.63D近視化、いわゆる夜間近視が出現することが判明した。しかし10名中2名では、近視化の出現はなかった。尚、近方30cmに設けた指標に対しての調節量には、明室と絶対暗室との間に有意の差がみられなかったが、今後更に詳細な検討が必要と思われた。 次に夜間近視がみられた8名において照度と調節安静位との関係について検討した。その結果、近視化は7〜10asbの照度で出現し、その後の照度の低下につれて近視化したが、0.03asb以下の低照度ではほぼ一定となり、絶対暗室における調節安静位を示した。 指標を遠方(5m)と近方(30cm)の間でステップ上に移動させた場合の明所(1,000asb)調節反応の潜時は平均325mscであったが、照度が30asb前後で延長がみられ、10asbでは平均380mscとなった。 最後に今後の研究計画を要約すると次の如くなる。1)調節安静位の加齢的変化の有無を検討する。2)調節のステップ応答のダイナミック、特に潜時について照度との関係を更に詳細に検討する。3)自律神経作働薬、特に交感神経β受容体刺激剤、および同抑制剤の調節安静位および調節のダイナミックスに及ぼす作用を検討する。
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