研究概要 |
1.眼瞼痙攣症例の臨床的研究 (1)眼瞼痙攣と考えられる新たな症例50例につきprospectiveに神経薬物治療、外科的治療を合わせ行なった。その結果、a)特発性眼瞼痙攣37例、b)開瞼失行を伴う眼瞼痙攣(混合型)10例、c)開瞼失行3例であった。現在迄のretrospective研究に基づき、a)についてはクロナゼパム、グラマリ-ル、パクロフェンを中心に。b)についてはア-テン、アマンタジン。c)はア-テンを第一選択として投与した。また外科的治療としてAnderson法に代わり、軽症のa),b)については浸襲と手術時間の少ない新手術法(眉毛挙上、眼輪筋挙上術および眼輪筋支配神経部分切断)を試み好結果を得ている。(2)臨床筋電図、臨床分析:前回のBlink lid openingという代償現象に加え水平運動負荷による眼瞼痙攣の変化を見出し検討している。 2.サル、ネコ、ウサギ挙筋支配亜核の研究 (1)サル上眼瞼挙筋亜核:HRP標識,さらに二種類の色素をtracerとし検討した。その結果、世界で初めて1つの運動ニュ-ロンが両側挙筋筋繊維を支配する二重標識細胞が発見された。サルというヒトに近い高等動物でこの二重支配ニュ-ロン存在の機能的意義は極めて大きい。(関谷 他 1990:Sekiya etal,1991 投稿中)。(2)ネコ、ウサギ上眼瞼挙筋亜核;同様の方法で詳細な亜核の配置が定量的に初めて示された。しかし二重標識細胞は見出されなかった。(Hiramoto,etal 1991投稿中) 3.ネコ外眼筋の垂直ともむき筋運動ニュ-ロンの二重支配ニュ-ロンに注目し初めて検討したが見出されなかった。(近藤ら 1991)。 4.眼瞼異常を特徴とする眼球運動異常を自験の臨床的研究を中心にまとめた。(向野 1990)。 5.ネコ顔面神経へのアドレアマイシンの応用が開始された。その結果は最終年度にまめられる。
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