超低温漕とポラドイドカメラの購入により、RFLPsを用いた研究が可能となった。外来患者で診断の確定したものについて家系分析を行った。試料(血液)の採取を行ない白血球のペレットとして保存し、いくつかをまとめてDNAの抽出機を使ってDNAの抽出を行った。抽出したDNAを制限酵素で消化し、アガロ-スゲルに流し、ナイロン膜に移した。マ-カ-が知られているX染色体網膜色素変性症、コロイデレミア、X染色体性網膜分離症について、既に幾つかのブロットを得ている。現在のところハイブリダイゼ-ションの条件決めを行っている。また発現が性と関係するが、X染色体性とはいえず、長年細胞質遺伝としてその遺伝形式が疑問のままであった視神経の遺伝性疾患であるLeber病について、最近ミトコンドリアDNA(mtDNA)の突然変異との関係が報告された。我々もLeber病の一家系についてmtDNAを抽出しPCR(Polymerase Chain Reaction)法を使って、11778番塩基対を含む212塩基対を増幅し、制限酵素で解析することにより、Leber病の点突然変異を確認した。この検討から、ミトコンドリアDNAの11778番塩基対の解析はLeber病の家系の早期診断に非常に有用と考えられた。また、常染色体優性の網膜色素変性症の点突然変異が発見され、これについてもPCR法を利用して診断を試みている。 今後Xー染色体性にかぎらず診断につかえる可能性のあるものについて積極的に検討する方向でのぞみたい。
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