平成元年度に設置したマックスウェル視光学系を用いて視色素の動態について測定した結果、理論値と著しい差異がみられたため、下記の改良を加え、さらに視色素の動態について検討した。 1.前回設置した光学系では、固視光用光源が1点であり固視光が測定結果に影響することが疑われたため、固視光用光学系にビ-ムスプリッタ-を加えることにより4点視標による固視を可能とした。 2.光学系別に遮光を完全にし、再び、検査光、参照光、および褪色光用中性フィルタ-ならびに光学楔のキャリブレ-ションを行った。 3.さらに、検査光と参照光のカウント数の比を求め、これを計測値とし、コンピュ-タ画面上に表示するとともに、外部記憶装置に記憶可能とした。 4.模擬眼を用いて上記の計測を行い、雑音の混入がほとんどなく精度の高い結果が得られることを確認した。 6.正常者において上記の計測を行い、精度の高い結果の得られる検査光ならびに参照光の最低輝度を決定し、測定光が計測結果に影響しないようにし、明順応中ならびに明順応終了後の計測を可能とした。 7.さらに、視物質の再生のメカニズムを検索する目的で、既存のマックスウェル視光学系を用い、心理物理学的方法により種々の条件下における暗順応曲線の計測を行った。 8.視物質の再生曲線は暗順応曲線と同様に指数関数に類似していたが、両者はやや異なり、そのメカニズムは同一のものではないことが示唆された。 今後、種々の条件下で計測を行い、視物質の分解ならびに再生のメカニズム、さらに波長特性などについて検索する予定である。
|