研究分担者 |
山中 あゆみ 東京歯科大学, 微生物学講座, 副手
石原 和幸 東京歯科大学, 微生物学講座, 助手 (00212910)
加藤 哲男 東京歯科大学, 微生物学講座, 助手 (00159253)
内藤 祐子 東京歯科大学, 微生物学講座, 講師 (00147258)
奥田 克爾 東京歯科大学, 微生物学講座, 教授 (40085741)
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研究概要 |
歯周病の局所では,特定のグラム陰性菌とスピロヘ-タが激増している。スピロヘ-タは,歯周ポケットが深くなる成人性歯周炎の局所で,全菌数の過半数を占めることも少なくない。Treponema denticolaは,その中心といえる。本菌種は,免疫応答を抑制する作用のあることを,教室でも示してきた。事実,多くの歯周炎患者は,T.denticolaに対する免疫応答を起こしていない。さらにT.denticolaは,歯周組織を破損する酵素を保有する。本年度は,それらの歯周病原性に関わるタンパク抗原をクロ-ニングし,その組換えDNAタンパクの活性について検討し,本菌の病原性を分子レベルで解析することを試みた。 T.denticola ATCC3350株の染色体DNAをHind IIIで切断し,λ47.1ファ-ジベクタ-に挿入し,E.Coli A358株に感染させ、本菌ウサギ免疫血清でタンパク抵原をスクリ-ニングした。得たクロ-ンを,λとした。この3kbpから成る遺伝子をpACYC184プラスシドベクタ-に挿入し,E.coli HBlol株に形質転換した。E.coli HBlolの組換え体T.denticolaのタンパク抗原は,分子量57.5KDaで,T.denticolaの供試した株に共通するもので,他の口腔treponemsに存在しないものであった。本クロ-ニングDNAは,486のアミノ酸を構成し,分子量は54,919と算定できた。本クロ-ニングDNAおよびタンパクを遺伝子バンクで検索したところ,E.coliおよびネズミチフス菌のaspartate carbomyltransferase(ATCase)30%以上の相同性を示した。組換えDNAタンパクは,ATCase酵素活性を示した。T.denticolaの組換えDNAタンパク抗原を部分精製した。分子量は57.5KDaで,T.denticola ウサギ免疫血清と強く反応することから,歯周炎患者血清中の本菌数に対する抗体価測定に使えるだろう。また,クロ-ニングDNAは,本菌検出のためのDNAブロ-ブに使えるだろう。
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