研究課題/領域番号 |
01480426
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
森 昌彦 朝日大学, 歯学部, 教授 (00076001)
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研究分担者 |
住友 伸一郎 朝日大学, 歯学部, 助手 (50216496)
村瀬 範泰 朝日大学, 歯学部, 助手 (60157774)
内藤 亮治 朝日大学, 歯学部, 講師 (90188863)
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キーワード | 口腔粘膜 / ケラチン / DMBA / ステロイド |
研究概要 |
ハムスタ-の正常頬嚢粘膜ではTKは角化層を除く全層に陽性を示し、KL1は基底層および顆粒層に、PKK1は基底層にのみ反応を認め、ヒト口腔粘膜の咀嚼上皮とほぼ同様の分布であり、発癌実験においてケラチンサブユニットの変化を検索するためにも有用なモデルと考えられる。DMBA塗布によるハムスタ-頬嚢の初期発癌実験において、塗布開始後約3週間で棘細胞層の肥厚あるいは上皮釘脚の伸展が認められ、塗布の期間を増すにしたがい、両所見の混在した様相を示し、7〜8週間の塗布で、小数ながら外向性増殖を示すものが認められるが明らかな扁平上皮癌の発生はこの期間内では認められない。発癌初期のケラチンサブユニットの変化として、棘細胞層の肥厚のみが認められる症例では下部棘細胞層に相当する部分でのKL1の染色性が低下、あるいは消失する。上皮釘脚の伸展のみ、あるいは棘細胞層の肥厚および上皮釘脚の伸展の両所見の認められる症例では、棘細胞層に相当する部位でのKL1染色性が一部で低下し、基底細胞層のPKK1の染色性が不規則となり、完全に消失する症例も認められる。 上皮内で免疫系に作用すると考えられるランゲルハンス細胞の発癌時における動態を検索するための基礎実験としてハムスタ-頬嚢における起炎剤およびステロイド剤の塗布実験を行い、起炎剤塗布によりランゲルハンス細胞数が正常の約2倍に、ステロイド剤投与により正常の約半数となることが判明した。 臨床症例における凍結切片を用いたケラチンサブユニットの分布様式を、さらに症例数を増やし、検索中である。扁平上皮癌ではいづれのケラチンサブユニットにおいても昨年度報告した正常粘膜に見られるような分布は乱れ、さらに各症例によっても発現するケラチンサブユニットの様相が異なり、分化程度との相関を求めるには到っていない。
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