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昨年度は、舌の呼吸リズム活動と咀嚼リズム活動とのカプリングの中枢神経機構について、ペントバルビタ-ル麻酔下のネコを用いて形態学的・生理学的手法により解析し、延髄網様体の呼吸ニュ-ロンの中には呼吸リズム活動を示す舌下神経運動ニュ-ロンに投射する興奮性premotor neuronが存在し、その一部は軸索を分岐して横隔神経運動ニュ-ロンにも投射することが明らかになった。この結果から、舌下神経運動ニュ-ロンおよび横隔神経運動ニュ-ロンの両者に直接投射するするこれらのpremotor neuronは、舌の呼吸リズム活動と咀嚼リズム活動とのカプリングに関与していると結論した。
嚥下に一致して、呼吸運動は停止し、舌の活動は呼吸リズム活動から嚥下の活動パタンにスウイッチングする。本年度は、呼吸から嚥下への舌の、機能のスウイッチングに関する上記の延髄網様体の呼吸ニュ-ロンの役割を検索した。迷走神経を両側切断したクロラロ-ス麻酔下の非動化ネコで舌下神経運動ニュ-ロンに投射し、呼吸リズム活動を示すpremotor neuronの単一ニュ-ロン活動を延髄網様体から微小電極で記録し、その活動が上喉頭神経の電気刺激によって誘発された嚥下に一致して、どのような変化を示すかを解析した。その結果、舌下神経運動ニュ-ロンにのみ投射する吸息性ニュ-ロンは上喉頭神経刺激による嚥下に一致して群発活動を示すが、舌下神経運動ニュ-ロンと横隔神経運動ニュ-ロンとの両者に投射する吸息性ニュ-ロンの発射活動は嚥下に一致して停止することが、明らかになった。この結果から、舌下神経運動ニュ-ロンに対射する延髄網様体の興奮性premotor neuronに見られるこれらの活動の変化は、呼吸から嚥下への舌下神経運動ニュ-ロンの機能のスウイッチングに関与していると結論した。
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