研究概要 |
平成元年度は、既に得られているモノクロ-ナル抗体をマ-カ-として用い、この抗体が認識する石灰化組織に特異的なシアロタンパクの精製とその物理化学的性質を明らかにすることを主眼とした。すなわち、歯牙を抜去したラット下顎骨を4Mグアニジン塩酸処理、塩酸による脱灰により非コラ-ゲン性タンパク質を抽出し、これをQーセファロ-スカラムによる分画、CHAPS及び2ーメルカプトエタノ-ル処理後TSKーフェニル5PWRPカラムを用いたHPLCによる分画を行い、SDS-PAGE(銀染色)及びウエスタンブロット(免疫抗体染色)により均一な標品を得ることに成功した。この抗体によって認識される分子量59,000のシアロタンパクは石灰化組織のほか血漿中にも存在するが、その他の組織には認められなかった。また、精製標品のアミノ酸組成、糖鎖を除去後の分子量(35,000)などの諸性質から、これまで骨から分離精製されている非コラ-ゲン性タンパク質とは異なる新しいタンパクであることが分かったが、N末端のアミノ酸がブロックされているため、N末アミノ酸分析は出来なかった。現在、ブロックされているアミノ酸を除去すべく、種々の方法を検討中である。一方、シアロタンパクを合成・分泌する細胞を同定するため、今年度の補助金により購入した細胞分離用エルトリエ-タ-ロ-タ-を用い、新生仔ラット頭蓋骨からコラゲナ-ゼ分散法によって得た各種細胞の分画を試みた。現在は、既に得られているモノクロ-ナル抗体によって免疫組織化学的に染色される細胞を、効率良く分画し得るロ-タ-の運転条件を検討中である。
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