研究概要 |
ラット下顎骨から非コラ-ゲン性タンパクを抽出し、Qーセファロ-スカラムを用いて"りん酸を含まないシアロタンパク"画分を粗精製した。 次いで、この粗精製標品を抗原としてマウスを免疫し、分子量約59,000のシアロタンパクを認識するモノクロ-ナル抗体を調製した後、この抗体を指標として分子量約59,000のシアロタンパク(59k Da bone sialoprotein)を高速液体クロマトグラフにより均一標品にまで精製した。 免疫組織化学的にこの59kDaーBSPの体内分布を検索したところ、石灰化組織(骨、象牙質)に特異的であり、それ以外の軟組織(軟骨、骨膜、肝臓、賢臓等)には認められなかったが、血漿中には59kDaーBSPの存在が認められた。 精製された59kDaーBSPのアミノ酸組成、糖鎖切断後の分子量およびN末を含む5種のペプチド断片のアミノ酸配列は、ヒトのα_2ーHS糖タンパクのそれと類似していた(アミノ酸配列の相同性は約50%)。 ヒトのα_2ーHS糖タンパクは肝臓で合成され、血流を介して石灰化組織に蓄積するとされている。 そこで、ラットの初代培養肝細胞系および免疫組織化学的に染色性が見られた骨芽細胞培養系を用いて59kDaーBSPの生合成能を免疫沈降法を用いて検討したところ、いずれの細胞でも59kDaーBSPを合成、分泌していることが明らかになった。 これらの結果から、59kDaーBSPはこれまで知られていなかったラットのα_2ーHS糖タンパクと推定されるが、ヒトのα_2ーHS糖タンパクはヘテロダイマ-であるのに反し、ラットの59kDaーBSPはモノマ-であることや、骨芽細胞でも合成されていることなど物理化学的、生物学的に異なる点も見出された。 59kDaーBSPのcDNAのクロ-ニングによる全アミノ酸配列の決定、生合成調節機構の解明など今後さらに研究を進めば、59kDaーBSPの石灰化機構との関連が明らかになるものと期待される。
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