研究概要 |
近年、骨の吸収と形成に関するサイトカインの役割が注目されている特にビタミンDを始めとする骨吸収因子(ILー1,TNF,LPSなど)は、骨芽細胞に働いて種々の蛋白性因子を産生する。本研究においては、(1)骨芽細胞からビタミンDの添加により産生されてくる68KDのリン酸化蛋白質と116KDの蛋白質について解析を行うこと、(2)種々の骨吸収因子を骨芽細胞に添加したときに、インタ-ロイキン6(ILー6)やLIF(leukemia inhibitory factor)のmRNAレベルがどのように変化するか、またrecombinant ILー6とLIFの骨吸収作用を検討すること、(3)活性型ビタミンDはマウス肺胞マクロファ-ジを融合する作用を既に報告しているが、マウス脾細胞から産生されるマクロファ-ジ融合蛋白性因子(MFF)について解析を行うことを目的とした。 《結果》(1)骨芽細胞から産生される68KD蛋白質は既にクロ-ニングされているオステオポンチンであることが判明した。オステオポンチンの転写はILー1,ビタミンD,TNFなどにより上昇すること、更に骨芽細胞ばかりでなく線維芽細胞においても発現が見られることが分かった。現在、116KD蛋白質については解析中である。(2)ILー6並びにLIFは、ILー1,TNF,LPSの刺激により骨芽細胞に特異的に発現されること、更にリュ-マチ患者の関節液中に分泌されていることが見い出された。両サイトカインは単独で高濃度に添加すると初めて骨吸収作用が見られるが、両者の併用あるいはILー1との併用により低濃度でもその活性が現れることが分かった。更に骨芽細胞はLIFのレセプタ-数が多いが、骨形成の指標となるALP活性、collagen量についてはビタミンAとの併用で初めて活性が上昇した(3)MFFについて解析するため、種々のサイトカインレベルを測定し、種々の抗体を添加することによりその活性が中和されるか否か検討した。その結果、マウス脾細胞から産生されるILー4とGMーCSFがMFF作用の主体をなすと結論された。
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