研究概要 |
前年度に引き続き,歯周疾患に罹患した部位特異的に進行する病変を経時的に検索し,また同部位に於ける歯肉溝浸出液(GCF)中の抗体価やサイトカインを検索して,病変の活動期を予知できるファクタ-となりうるかどうかについて検索した。 実験的に犬の上下顎の歯に対して歯肉炎,歯周炎を惹起させ,GCF中のβーグルクロニダ-ゼは歯肉の炎症によって高値を示し,アルカリフォスファタ-ゼ,プロスタグランデインE_2などは歯周ポケットの深さに相関しているという結果を得た。コラゲナ-ゼは,その歯肉の炎症の程度に最も鋭敏に反応するファクタ-であると考えられた。 一方,宿主側の応答がGCFの中の成分としてどのように評価されるかを知るを目的で,ヒトのプラ-クコントロ-ル期間中に経時的にIgGサブクラスレベルについて検索を行ったが,IgG4が歯周ポケットの存在を含む疾患の程度を示す指標であるのに対して,IgG1は歯肉の炎症,歯周ポケット上皮下の炎症を表すファクタ-として有効であるという結果を得た。 また現在は,このようなGCF中成分の変動と歯周ポケット内細菌としてP.Gingivalisとの関係について,犬を用いて研究を継続中である。以上の一連の研究結果から,歯周ポケットが形成されるかにおいてGCF中に検出されるファクタ-を用いれば疾患の進行を予知できる可能性が示された。さらに,歯周炎での好中球の役割,特にその局所への遊走性についても検索を行ったが,P.Gingivalisの産物に好中球遊走因子として認識される成分が含まれていることが解明された。
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