研究課題/領域番号 |
01480447
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
谷 嘉明 京都大学, 生体医療工学研究センター・生体材料学研究部門, 教授 (90026881)
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研究分担者 |
都賀谷 紀宏 京都大学, 生体医療工学研究センター・生体工学研究部門, 助手 (50127106)
堤 定美 京都大学, 生体医療工学研究センター・人工臓器学研究部門, 助教授 (00028739)
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キーワード | レーザー / 象牙質 / スメア層 / 象牙質処理 / 接着 / 接着前処理 |
研究概要 |
本実験の目的は、きわめて小型にモジュールされたCO_2レーザーを使用して、象牙質面のsmear layerがどのように処理されるのかを評価することであった。 スポット径3mmのdefocus beamで照射した場合、エネルギー密度が5J/cm^2ではsmear layerはほとんど処理されず、10J/cm^2でわずかに蒸散するのが認められた。15J/cm^2になると部分的にsmear layerは蒸散し、その直下の象牙質は明瞭に露出し、dentinal plugsで封鎖された象牙細管があきらかになった。20〜30J/cm^2では処理された面がより広範になり、50J/cm^2でもっとも良好な処理効果があることがわかった。さらにエネルギー密度を上げた場合、象牙質面はsmear layerを残したまま炭化しており、とくに100J/cm^2では表面に無数のクラックが生じた。この結果、smear layerの処理に適した照射条件は30〜50J/cm^2であり、この照射条件はYAGレーザーでの実験結果と同様であることがわかった。 レーザー照射時の歯髄腔内温度の上昇は、歯髄に相当するmediumとして3%ゼラチン加生食水を歯髄腔内に封入して測定した結果、象牙質厚径が2.5mmの場合の上昇温度はわずか1.5℃であり、2mmで1.7℃、1.5mmで3.6℃、1mmで6.3℃、0.5mmでは21.8℃と急上昇することがわかった。このことから、象牙質厚径が1mmあれば60J/cm^2のエネルギー密で照射しても歯髄の安全性を損なうことはないものと考えられる。また、歯髄腔内温度の上昇がピークに達するまでの時間は、象牙質厚径2.5mmで10.2sec.ときわめてゆるやかであり、厚径が小さくなるにつれて短くなり、0.5mmでは1.6sec.となった。その結果、歯髄の安全性が保証される象牙質の厚径の限界はおよそ1mmでないかと考える。
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