既存の含金属モノマ-、オリゴマ-の歯科用修復材全般に対する接着性の検討を、ボンディング材として使用する場合とレジンセメントとして使用する場合の2つの面から行った。 その結果、1.従来のボンディング材と比較して歯科用金属、陶歯等の無機系の材料に対しては表面処理を施すことなく良好な接着性を示したが、レジンインレ-等の有機系の材料に対しては逆に従来のボンディング材以下の接着性しか示さなかった。また、歯質に対する接着試験の結果も、無機質であるエナメル質研磨面には良好に接着するが、有機質を含む象牙質研磨面に対する接着性は低かった。以上、現在までに得られた結果は含金属モノマ-の接着性に関しては従来の接着性モノマ-とは全く逆の性質を示し極めて特異的であった。即ち、歯質、特に象牙質に対する接着性の向上を考えるとき、従来の酸エッチングように無機質(コラ-ゲン)をリッチにするような歯面処理に換わる何等かの処理法が必要であると考えられた。 2.含金属モノマ-の分子内の金属の種類が接着性に及ぼす効果に関する検討の結果については、亜鉛が多くの材料に対して良好な値を示した。 3.ボンディング材を調製する際の含金属モノマ-のコモノマ-としては、MMA、HEMAなどの一官能性モノマ-は好ましくなく、3ーG、2.6ーEなどの多官能性モノマ-が好ましいことが明かとなった。
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