1.In Vitro系:各種緩圧材の緩圧効果の評価 アパタイトコ-ティングインプラントの上部構造物に組み込む緩圧材の選定において、数種類の高弾性セグメントポリウレタン(バイオトロンR)を治見に組み込み、その弾性率を測定したところ、歯根膜とほぼ同等な弾性率を有するものがバイオトロンRBー12と判明した。このことから、緩圧材の緩圧効果をin vitroで評価するため、バイオトロンRBー12、さらにやや弾性率の高いBー17および歯冠修復用硬質レジン(サ-モレジンLC)を用い、対照としての歯冠修復用合金(12%金銀バラジウム合金)とともに検討に供した。口腔内を模倣した条件下におけるこれらの材料の緩圧効果をみるため、人工唾液中に3、6、12ケ月間浸漬し、緩圧効果の経時的変化を計測している。 2.In Vivo系:各種緩圧材を組み込んだ上部構造物による骨組織界面の評価 日本猿成猿6頭を用い、インプラント植立予定部位(M_1P_2P_1|P_1P_2M_1)を抜去後、3ケ月間の治癒ののち、アパタイトコ-ティングインプラントを左右2本ずつ完全埋入した。インプラント埋入3ケ月後、チタン合金製支台部を装着した。次いで、In Vitro系の実験で検討した3種類の緩圧材を組み込んだ上部構造物および緩圧材を組み込まない対照の上部構造物を装着した。現在、6頭のうち3頭については、上部構造物装着後、4ケ月を経過しており、週1回ブラッシング、月1回歯肉炎指数、歯肉溝浸出液量、盲嚢深さ、動揺度等の測定およびX線撮影を行っている。残り3頭については近々上部構造物を装着する予定で準備中であり、上部構造物装着後12ケ月後の観察ののちに動物を屠殺し、各種緩圧材の上部構造物による骨組織界面を組織学的に評価する予定である。
|