3年計画のうち本年度は、自律反応と咬筋筋活動の分析システムを開発し、顎機能異常者に対するバイオフィ-ドバック療法の評価に適したパラメ-タについて検討した。自律反応の評価には、脳波(EEG)、マイクロバイブレ-ション(MV)、心電図(ECG)、指尖容積脈波(PTG)を選び、咬筋筋活動では積分値により評価した。本システムは、我々が独自に開発したものであり、平成元年度文部省科学研究費補助金で購入したデ-タレコ-ダ(XRー50)、シグナルプロセッサ用プログラムNo.201およびペ-ジプリンタPCPR602PSを構成要素に含んでいる。 顎機能に異常のない成人男子11名を対象として、安静時とストレス負荷(光、音、咬みしめ)時の自律反応、咬筋筋活動を調べた。安静時と比較してストレス負荷時では(1)EEGのα帯域が減少しβ帯域が増加した。(2)ECGではRーR間隔の規則性が乱れた。(3)PTGでは振幅は減少し、基線の動揺が大きくなり、エリア(波形と変曲点を結ぶ線がなす包絡線)が小さくなった。(4)MVでは変化がなかった。(5)咬筋筋電図積分値はやや増加した。これらのパラメ-タのなかで反応が特に顕著だったものはPTGであった。 以上のことから、本システムはバイオフィ-ドバック・トレ-ニングによるストレス&リラクセ-ションを客観的に調べることができ、しかも咬筋という局所の反応のみならず全身の反応をも把握できるものと考える。 上記の内容について、平成2年2月10日日本ME学会専門別研究会通会第33回顎口腔機能研究回(徳島)にて発表した。
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