研究課題/領域番号 |
01480461
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
井上 農夫男 北海道大学, 歯学部, 助教授 (20091415)
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研究分担者 |
三古屋 忠 北海道大学, 歯学部, 助手 (10181869)
西方 聡 北海道大学, 歯学部, 助手 (00125337)
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キーワード | ラット / カラゲニン / 炎症 / 組織修復 / 線溶系 / コラゲナ-ゼ |
研究概要 |
ウイスタ-系雄ラットを用い、カラゲニン炎症モデルを作製し炎症組織を組織学的ならびに生化学的に分析した。炎症巣における浸潤細胞は初期においては好中球が7日目以降ではマクロファ-ジが主体となる。線維芽細胞の増殖はカラゲニン注入翌日から炎症巣の周辺部においてみられるが、炎症の強い初期では肉芽組織の形成は少なく、著明な肉芽形成は7日目以降において認められる。肉芽組織の器質化は周辺部から炎症巣中心部に向って進行し、14日目以降では肉芽組織の線維成分が増加し、21日目では肉芽嚢の大部分が線維性組織で線維芽細胞は肉芽嚢内腔側に数層認めるだけとなる。また、14日目以降では肉芽組織内にカラゲニンを貪食したマクロファ-ジが増加する。炎症初期では浮腫が著しい組織隙あるいは炎症巣中心部にフィブリン様物質がみられるが、これは肉芽組織の形成に伴い消失する。肉芽組織におけるブラスミノ-ゲン・アクチベ-タ-活性は7日目から14日目にかけて増加し、14日目から21日目にかけては減少傾向を示す。このアクチベ-タ-の上昇に伴い炎症巣における滲出液中の免疫学的に測定したプラスミノ-ゲンおよびフィブリン分解産物は7日目より14日目、21日目において明らかな高値を示し、7日目から14日目にかけて明らかな増加を示す。また、7日目から14日目にかけてコラゲナ-ゼ活性は上昇するが、この活性化因子はプラスミンであることが明らかになった。以上のように線溶系はフィブリン分解、コラゲナ-ゼ活性化調節機構に関与し、組織修復過程で肉芽組織の形成およびその器質化に重要な役割をはたしていることが明らかになった。
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