研究概要 |
前年度に引き続き,屍体頭部を用いてCT画像診断の基本的要求事項である解剖学的構造の大きさ,CT値について検討した。 〔方法〕CTスキャナ-(TCTー60A,東芝)を用い,管電圧120kVp,管電流200mA,スキァン時間9秒,スライス厚さ2mm,スライス間隔5mmとした。横断画像はAーM面に平行な面,前頭断面はこれに直交する面,矢状断面は正中矢状面に平行な面とした。同時にX線規格撮影をPーA,正中分割した頭部側面撮影も行なった。 〔結果〕 1)大きさの計測値:14体の頭部について,上顎洞内腔の最大の幅,高さ,奥行きはCT画像でそれぞれ30〜38,27〜43,32〜42mmに分布し,この値は規格写真上の値とほゞ一致した。左右の相関は低く,上顎洞大きさの左右差の大きいことを示している。一方,下顎骨皮質の厚さは規格写真上で3mm未満と3mm以上の場合,CT画像ではそれぞれ約30%と10%大きい値を示した。口蓋粘膜の厚さを針で実測すると,2.8〜8.0mmに分布し,CT画像では平均20%だけ小さい値を示した。 2)耳下腺のCT値分布:耳下腺を摘出し,本来のCT値分布を水ファントム中で糸でつるした状態でCT撮影を行なうことにより推定した。また頭蓋骨に付着させた状態でCT撮影を行ない,骨の影響を検討した。水平断画像では下顎骨に近接した部位で,前後いづれの部位でも本来の耳下腺CT値(20〜30H.U.)の約2倍の値を示すが,下顎骨から約14mm以上離れると,両者のCT値はほゞ一致した。前頭断画像では,上方の側頭骨近傍でCT値は約2倍の値を示したが,下方では本来のCT値より小さい値を示し,周囲水のCT値も減少傾向を示した。
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