本年度は、今までの研究をさらに進めた。すなわち、現在継代培養されている頭頚部悪性腫瘍細胞株(舌癌2例、上顎癌、口底癌、下顎歯肉癌各1例)をさらに継代培養した。各細胞は一定した増殖傾向を示し、細胞株として安定してきたことが示された。 培養細胞のFCM測定は、PI単独染色によるDNA量の測定をまず行い、その結果、明らかに腫瘍細胞としての特徴を持っていることが示された。すなわち正常細胞と比して、S期、G2M期の成分が多いヒストグラムがえられた。 次に、培養中にBrdUを投与し、固定後、抗BrdU抗体染色を用いたPl/FITC二重染色の測定を開始した。この方法ではS期にある細胞がBrdUを取り込みFITCの蛍光を発することから、S期細胞の割合を測定することが可能であることが示されたがデ-タが少なく現在さらに測定を追加している段階であり、各細胞成分の割合を正確に算定でき、腫瘍細胞の性格、及び、抗腫瘍剤投与における細胞回転に及ぼす影響が正確に判定できるものと思われた。 生検材料のPI単独染色によるFCMによるDNA量の測定は、継続して行っており、症例数を重ねている。摘出標本におけるBrdUを用いた2重染色は、培養細胞同様非常に有用であると思われるが、これは現在、その染色、測定法について、検討中である。
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