研究概要 |
唾液腺由来腺癌細胞がepidermal growth faetor(EGF)及びfibroblast growth factor(FGF)様因子を自己増殖促進因子として産生することを明らかにした。さらに当科で作製したヒトEGF受容体に対するモノクロ-ナル抗体12ー93はin vitroにおいて唾液腺癌細胞の増殖を抑制することさらにヌ-ドマウス移植腺癌細胞の増殖も抑制することを明らかにした。また、FGFに対するモノクロ-ナル抗体を作製した。同抗体のうちnatineformを認識する47α抗体を用いて唾液腺組織並びに各種唾液腺腫瘍組織におけるFGFの発現を免疫組織学的に検索した結果,正常唾液腺においては導管上皮細胞が,唾液腺腫瘍においてはほとんどの腫瘍細胞が発現していることが明らかとなった。したがって,唾液腺腫瘍の発生とFGFの発現は密接な関係にあることが明らかとなった。次に,米国W.Alton,Jones Cell Science Centerとの協同研究において,偏平上皮癌細胞はαーTGFを発現していること,さらにこのαーTGFは分泌されておらず細胞膜上に発現されており細胞膜上で受容体と結合することにより自己増殖の促進に働いていることを分子生物学的に明らかにした。これはさらに,in vitro,in vivoにおいて12ー93抗体により口腔偏平上皮癌細胞の増殖が抑制されたことからも偏平上皮癌細胞においてはαーTGFが自己増殖促進因子として働いていることが確認された。したがって、口腔癌の産生する自己増殖促進因子の作用を細胞内分泌学的に明らかにし,これら因子の作用をblockすることにより口腔癌の増殖を抑制出来ることが明らかとなり,今後口腔癌治療に有用性が高いことが示唆された。
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