研究課題/領域番号 |
01480486
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
三宅 達郎 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (40200141)
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研究分担者 |
上村 参生 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (70168665)
熨斗 秀光 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (20103088)
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キーワード | 合成ハイドロキシアパタイト / タンパク質 / 細菌 / Zeta電位 / ESCA / 吸着 / 付着 / 表面 |
研究概要 |
今年度(平成元年度)はタンパク質、細菌および合成ハイドロキシアパタイト(HAp)のzeta電位の測定条件を確立し、それぞれのzeta電位の値を明らかにした。タンパク質については等電点の異なる6種類のタンパク質を用いて、1/30Mリン酸緩衝液中でzeta電位を測定した。その結果、分子量が7200程度のサケプロタミンをはじめ、実験に供したすべてのタンパク質が測定可能であることが確認でき、それぞれのタイトレ-ションカ-ブを得ることができた。細菌についてはpH7.0の1/30Mリン酸緩衝液中でS.mutansHS-6のzeta電位を測定し、TSBY培地で培養した場合が-20.6mV、HIB培地が培養した場合が-20.3mVの値を得た。これらの値はpenーKem社製の電気泳動装置を用いて測定した結果と比較すると、わずかに負の電位が低くなっている。しかし、大塚電子社製のzeta電位計を用いた測定結果は、van Gils plotsの左右対称性の乱れや測定値のばらつきが小さく、細菌に関しては、pen-kem社製の装置よりも正確な情報が得られることが示唆された。一方、HAPはタンパク質や細菌に比べると非常に沈降性が高く、タンパク質や細菌と同じ測定条件ではvan Gils plotsの左右対称性がセルの壁面付近で乱れる傾向にある。現在のところ、HAPの洗浄を10回行い、分散比をHAP10mgに対して、1/30Mリン酸緩衝液50mlにし、測定前に周波数28KHzの超音波で1分間処理した試料については、左右対称のvan Gils plotsが得られている。この条件下でのHAPのzeta電位の値は-33.9mVであり、penーkem社製の装置を用いた測定結果-34.8mVに近似している。HAPについては、今後さらに詳細な測定条件を設定し、HAPのzeta電位に対する超音波の影響についても検討していく予定である。来年度はこれらの値をもとにして、タンパク質のHAPへの吸着現象およびタンパク質吸着HAPへの細菌の付着現象を界面電気化学的に解析していく。
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