1.不活性X染色体をもち、HAT感受性ECCクロ-ンMC12にM-MuLV^<sup>を感染させ、5-azacytidine処理後、HAT-抵抗性の3クロ-ンを分離した。これらのクロ-ンでは処理前に非同調複製していたX染色体は同調化していた。 2.上で得たクロ-ンより抽出したDNAをλgt10にクロ-ニングし、サプレッサ-tRNA遺伝子が組み込まれたクロ-ンを選別して分析中である。 3.MC12細胞よりmRNAを分離しcDNAライブラリ-を作成した。MC12と2本の活性X染色体を持つC4細胞のcDNAをプロ-ブにdifferential screeningを行い、MC12のみに発現するクロ-ンλMC12を得た。λMC12は約800bpで、80bpのbrain identifier sequenceに相同性の高い部分が認められたがopen reading frameは同定できなかった。λMC12をプロ-ブにしたMC12のNorthern blotでは約4kbpに明瞭なシグナルが得られるので、λMC12はcDNAの一部に過ぎないと結論される。そこでfull lengthのcDNAクロ-ンを分離すべく、再度クロ-ニングしたところ約2.5kbpのクロ-ンλMC1aが得られたのでシ-ケンスを調査中である。 4.SDS-PAGE-銀染色で見いだされたMC12に特異的な核タンパク質をコ-ドする遺伝子をクロ-ニングし、X染色体の不活性化への関与を検討するために、核タンパク質の分画を進めている。逆相HPLCでMC12とC4間の違いを検出することが可能になり、問題のピ-クを濃縮することも容易になった。しかし、アミノ酸配列の決定にはいましばらくの努力が必要である。 5.マウス胸腺リンパ腫細胞株MTL1-B3の不活性Xは他の染色体より早く複製を終了するearly replication型であるが、他の細胞と融合すると次の分裂サイクルではlate replication型に転換する。これは不活性Xのみならず染色体複製時期を決定するfactor(s)全般の解明には重要な事実である。最近ようやくlateとearly replicating Xを持つクロ-ンが得られたのでcDNAより両者の違いを解析している。
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