研究概要 |
(1)コケイン(CS)細胞欠損因子について。紫外線を照射したCS細胞においてはRNA合成能の回復が障害されている。このことを指標としてCS細胞におけるタン白性欠損因子の活性を細胞レベルで測定することが可能である。このような活性は、正常ヒト細胞及びA群XP細胞の抽出液中に認められる。これらの因子の分子量を知る目的から、浮遊HeLa細胞より全細胞抽出液(WCE)もしくは核抽出液(NE)を調製し、セファクリルS300HRのゲル濾過を行った。各分画を濃縮した後、A群B群CS細胞に注射して紫外線照射し、24時間後のRNA合成能回復の有無を ^3Hーウリジン取り込みのオ-トラジオブラフィ-で調べた。これらの分画よりA〜G群XP細胞欠損因子はすベて特定の分子量をもつ分画に検出されたがCS欠損因子活性は検出できなかった。(2)コケイン細胞欠損因子に対応するmRNA分画の試み。HeLa細胞よりグアニジンイソチアネ-ト法で全RNAを抽出し更にオリゴαTカラムを通してmRNAを調製した。メチル水銀存在下で庶糖密度勾配遠心を行いmRNAを分画した。これらの分画から、A,E,G群XP並びにHPRT活性を有する分画が得られたが、CS活性(A,B)を有する分画は検出できなかった。(3)B群XP細胞欠損因子について。B群XPはCSを併発する興味ある相補性群である。この群における欠損が単一遺伝子の欠損に基ずくものかどうかを見るためHeLa細胞抽出液をゲル濾過により分画した。XPの指標として不定期DNA合成(UDS)の回復を見ると分子量60万の分画に活性が認められた。またCSの指標として紫外線照射後のRNA合成能の回復を調べた所、上記分子量60万の分画のみにこの活性があることがわかった。これらの結果は、B群XPにおける欠損が単一遺伝子遺物の異常に基ずくものであることを強く示唆している。現在この因子に対する抗体を調製中である。
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