研究課題/領域番号 |
01480510
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
佐藤 徳光 新潟大学, 医学部, 助教授 (00111716)
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研究分担者 |
藤沢 信義 新潟大学, 医学部, 助手 (50199311)
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キーワード | Tumor-dormancy(癌休眠) / モデル動物 / ddYマウス / 特殊系統 / Ehrlich腹水癌 / 固型癌 / 癌のprogression / 癌治療研究モデル |
研究概要 |
ddYマウスの腹腔内で継代移植しているEhrlich膜水癌細胞を採取し、2×10^7個の癌細胞を同系マウス(5〜8週令)の背部皮下に注射した。多くの個体では癌細胞は増殖を続け大きな固型癌に発展したが、一部の個体では移植した癌細胞は増殖せず、米粒大のしこり状で推移した。前者を、susceptible(S)個体、後者をresistant(r)個体として、以降選抜交配を重ねた。現在11代を経たが、100%の個体で固型癌形成が著しく早いS系と、90%以上の個体が固型癌形成を示さないγ系が確されつつある。両系の差は極めて明瞭である。 S系マウス皮下での固型癌形成速度は、癌細胞移植後10日で220.3±101.21mm^2(長経×短経±s.o)、20日で602.6±148.55mm^2、30日で743.0±148.8mm^2であった。一方、γ系マウス皮下では移植後1週間目頃に軟らかい米粒大のしこりと触診され、以後そのまま変化なく推移するが、これを摘出して他のS系マウスや無胸腺マウスの背部皮下に移植すると増殖を開始し大きな固型癌に発展する。γ系マウスにおけるこの様な癌細胞の休眠状態は、癌細胞移入後約3ヶ月近く続く。3ヶ月以上経過したものを摘出してS系マウス等へ移植した場合は増殖は認められなかった。 休眠状態にあるとみられる米粒大のしこり状のものは、移植した癌細胞の周囲を白血球や繊維芽細胞がとりまいた様相を呈し、癌細胞には全く分裂像がみられない。 次の実験目標として、皮膚の移植試験を行いγとs系の組織適合性を調べ遺伝的変異をみる。リンパ球混合培養試験も行って比較する。また、各系マウスのリンパ球とEhrlich腹水癌細胞との混合培養試験を行い、リンパ球の癌細胞に対する反応性の相違を調べる。さらに、各系の皮膚粘膜よりfibroblastを得て培養系を確立し、これと癌細胞の混合培養を試みてみる。γとs系fibroblastの差の有無を検討する。
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