研究概要 |
1.Ehrlich癌休眠系マウス(drmマウスと略)の皮下で休眠中の癌組織と同癌増殖系マウス(prgマウス)の皮下で増殖中の癌組織について、宿主白血球の浸潤状態を比較した。免疫組織化学的にCD4,CD8の組織内分布を比較する限り、いずれの癌組織にもCD4、CD8リンパ球の浸潤が見られ、両系マウス間に有為な差は認め難かった。 2.数種steroid,免疫抑制剤、起炎性物質、コラゲナ-ゼなどを休眠中の癌組織の近辺に連続投与したが休眠癌の覚醒は起こらなかった。 3.drmマウスの癌休眠形質は、血清の移入によって伝わらない。したがって、血清中に直接癌を休眠させる因子は含んでいないと思われる。 4.drmマウスの癌休眠形質は、このマウスの脾臓細胞をprgマウスに移入すると、その能力が伝わる。特に、癌細胞であらかじめ免疫したリンパ球の活性が強かった。 5.両系マウスの遺伝的多型を分析した。マウスリンパ球表面抗原に対するモノクロ-ナル抗体を用い、drm(F15)、prg(F10)のクラスI(Hー2)のハプロタイプを同定した。その結果、drmはHー2^B,prgはHー2^qに分離していることが分かった。比較のため、他の近交系マウス皮下における同癌細胞の増殖性を調べた。その結果、Hー2ハプロタイプのk,q,vは増殖グル-プ、dとrは休眠グル-プ、pとsは拒絶/休眠、bは拒絶であることが判明した。
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