1)HFRSウイルスは増殖能が低く、単離のかなり困難なウイルスであるので、これまでのような方法ではとうていクロ-ニングは不可能であった。そこで遺伝子増幅法(PCR)を用いた、大腸菌を用いない、新たなクロ-ニングシステムの開発に成功した。 2)HFRSウイルスには4種類の血清型が存在している。既にその内の1つであるHantaan株のウイルスゲノムの内のエンベロ-プとヌクレオキャプシドタンパク質に対するcDNAはクロ-ニングされているので、他の3株の内、実験動物を取り扱う上で一番問題となっているラット型HFRSウイルスであるBー1株のエンベロ-プタンパク質のcDNAのクロ-ニングを行い、その遺伝子配列を明らかにした。その結果、遺伝子とアミノ酸の双方とも、Bー1株とHantann株間での相補性は約70%であることが明かとなった。 3)Bー1株とHantaan株のウイルスゲノムRNAの構造比較を行い、その遺伝子配列を基に適切なプライマ-を合成し、そのプライマ-を用いて共通部分と特異部分を検出するPCRを確立した。 4)ネガティブストランドRNA(ウイルスゲノムRNA)とポジティブストランドRNA(mRNAとcRNA)の半定量的検出法を確立し、ウイルスの活性化状態の検討を行えるようになった。 5)PCRによって求められたウイルスゲノム量とウイルス感染能力であるプラ-ク形成単位(PFU)との相関関係が得られた。
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