研究分担者 |
石黒 敏一 帝京大学, 医学部, 助手 (30082275)
大門 建夫 帝京大学, 医学部, 助教授 (40091037)
木内 吉寛 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (80012764)
久原 孝俊 帝京大学, 医学部, 講師 (70134616)
阿部 由明 帝京大学, 医学部, 教授 (20089296)
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研究概要 |
本研究の最終目的は,マイコプラズマの呼吸器感染によって起きる肺炎発症のメカニズムを明らかにするため,菌体由来物質等を用いて動物に肺炎を構築し,肺炎を物質レベルにおける種々の反応として捕らえ明らかにする具体的方法を確立することと,その過程で明らかになるのであろう,感染防御物質(抗原)を用いたワクチン開発への手がかりを提供することにある.以下に,研究成果の概要を記す. 肺炎の構築:生菌を用いないでマウスやラットにマイコプラズマ肺炎と区別できない間質性肺炎を構築した.その肺炎の概要は,Phase I(第3病日以内の所見の再現):肺胞基底膜(ABM)に親和性をもつ物質(3GluーNH_2),ABMの共通抗原とMitogen活性をもつ菌体抗原やConAを用いることで,上気道から肺胞領域の血管周囲と気道内などに急性炎症を作成した.Phase II(第5〜12病日):気道や肺胞の毛細血管から吸収させた菌体代謝産物(NCBA,Etーfr.III)などにより,免疫反応と特定の炎症細胞の浸潤を伴う典型的な間質肺炎像を作成した.Phase III(第13〜21病日):菌体の膜抗原と各種NCBA抗原とそれらの抗原に対する免疫複合体により,ADCCなどの各種免疫反応による細胞障害,IV型アレルギ-,免疫能の低下などにより,炎症が拡大した.Phase IV(第3週病日以後):この病期にみられる慢性の間質性肺炎は,持続感染の形で菌体から補給され続ける上記の各種抗原物質による感染宿主の防御反応として捕らえられた.なお,肺炎構築に係わる物質の特性と組み合わせについて,最終的な整理を実施中である.ワクチン用抗原:マイコプラズマ感染動物の血清や免疫血清による受身免疫は,感染防御には十分に効果的ではないと思われてきたが,上記に示した各種肺炎起炎・遷延化物質を取り除いた抗原物質による免疫血清では,十分な感染防御効果がみられた.そこで,これらの抗原物質を急ぎ同定中である.
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