研究概要 |
ゲル状食品の機能特性は高齢化社会を迎えるにあたり注目されるところである。咀嚼や嚥下能力の低下などの問題から口どけ,のどごしのよい混合ゲルの開発を目的とし、また高齢者に不足しがちなカルシウムや食物繊維の摂取も考慮し研究を進めている。本年度はスキムミルクおよび野菜ペ-ストの混合ゼリ-について検討した。 スキムミルクゼリ-は寒天,ゼラチン,スタ-チを用い、スキムミルク添加により寒天,スタ-チゼリ-では破断応力、弾性率を低下させるが、ゼラチンゼリ-では増大させた。スタ-チゼリ-は付着性,摩擦係数が大であり、経口的管能検査の結果、若年者と高齢者ともにねばり、口どけが悪く、飲み込みにくいとし、寒天、ゼラチンゼリ-に比べおいしくないと評価され、若年者と高齢者との嗜好特性の対応が見られた。 野菜ペ-ストの一つとしてかぼちゃペ-ストを用い、寒天,カラギ-ナン,ゼラチンを用いたかぼちゃゼリ-では、かぼちゃペ-ストの添加量の増加により、粘弾性定数を増大するが、破断応力は寒天ゼリ-では低下、カラギ-ナンゼリ-では増大、ゼラチンゼリ-では変化が少なく、それぞれの効果を示した。また破断ひずみは、寒天,カラギ-ナンゼリ-では25〜30%,ゼラチンゼリ-では約60%とそれぞれのゲル化剤の性質に依存した。官能検査では高齢者は若年者に比べ、3種のゼリ-間の嗜好特性の識別は少なかった。若年者ではゼラチンゼリ-が他に比べ、よくねばり、口どけが悪く、飲み込みにくいと評価され、カラギ-ナンゼリ-が最もおいしいと評価された。一方高齢者では口中のねばりでは若年者と同様の結果が示されたが、その他の特性は3種のゼリ-に有意差は示されず、いずれのゼリ-もやわらかく、口どけがよく、飲み込み易く、おいしいと評価された。なおゼラチンゼリ-は、付着性と摩擦係数が大であった。
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