研究概要 |
1.昨年度に調製した多核( ^<13>C, ^<15>N, ^<19>F)標識リボフラビンから、オキシ塩化リンによるリン酸化を経てFMNに導き、細菌から精製したFAD合成酵素によってFADに導いた。このFAD合成酵素標品や、多核標識フラビンの保存には本補助金によって購入された超低音フリ-ザ-が有効に利用された。得られたリボフラビン、FMN、FADの標識位置は2,4,4a,10aー ^<13>C,1,3,5ー ^<15>N,8ー ^<19>Fである。 2. ^<13>Cー標識FADで再構成したウシ副腎皮質のアドレノドキシン還元酵素と拮抗阻害剤2′,5′ーADPとの相互作用を、標識 ^<13>Cの ^<13>Cー信号および、2',5'ーADPのリン酸基の ^<31>PーNMR信号をてがかりに調べた。その結果、2',5'ーADPのアドレノドキシン還元酵素における結合部位は、NADPHのADPー部分のそれと共通であることがわかった。さらに、NADPHとアドレノドキシン還元酵素の結合において、ADPー部分の結合の占める役割が重要であることも判明した。 3.8ー^<19>FーFMNを再構成させた旧黄色酵素をキモトリプシン処理することによって、蛋白質部分とフラビン部分を共有結合させることができた。この共有結合は、キモトリプシン処理によって出現したアミノ基が8ー^<19>FーFMNの8ー位を求核攻撃することによって形成された。このフラビン部分が結合したアミノ酸残基付近のアミノ酸配列から、旧黄色酵素におけるFMN結合都位を特定することができた。さらに、旧黄色酵素の14K、34Kの2つのドメインのうち、14KードメインがFMN結合ドメインであることもわかった。
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