研究概要 |
Dーアミノ酸酸化酵素(DAOと略) DAOによる基質の酸化の機構を調べるために、基質アナログとして、oー,mー,pーフッ素化安息香酸(それぞれ、OFB,MFB,PFBと略)を用い、これらのアナログのF(19)ーNMR信号を指標にFBとDAOとの結合状態を調べた。その結果、3個のアナログのうち、OFBのF(19)ー信号が他に比べてもっとも大きくシフトし、MFB,PFBの順に小さくなった。このことは、基質Dーアミノ酸がDAOによって酸化される際、アミノ基からフラビンへ電子が移動することを示唆している。 NADPHーアドレノドキシン還元酵素(ADRと略) ADRをC(13)で選択的に標識したFADで再構成し、遊離の状態および、NADP結合状態で、C(13)ーNMRを測定した。C(13)標識位置は、フラビン環の2,4,4a,10aー位である。NADP結合状態では、4aーC(13)信号が低磁場シフトしており、NADPHからADRに電子が伝達される時、NADPHがADRに結合することにより、フラビン部分の4aー位の電子密度が下がり、NADPHからフラビンへの電子伝達が促進されていることが示唆された。 旧黄色酵素(OYEと略) 8ーフルオローFMMで再構成したOYEをキモトリプシンで限定加水分解すると、OYEは特異的に14K断片と、34K断片に切断され、この時に出現した14K断片のNー末端ロイシンのアミノ基が8ーフルオローFMMの8ー位を求核攻撃し、14K断片とフラビン部分が共有結合した。このことによって、OYEの一次構造上、および三次構造上の結合位置と結合様式が推定できた。
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