研究課題/領域番号 |
01480534
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鎌田 七男 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (00034629)
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研究分担者 |
田中 公夫 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (70116622)
丹羽 太貫 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (80093293)
峠 哲哉 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (40034657)
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キーワード | 染色体異常 / 慢性白血病 / BCR遺伝子 / トラシスフォ-ム遺伝子 / 急性白血病 / 原爆被爆者 / ras遺伝子 / 被爆線量 |
研究概要 |
I)被爆者白血病に関する研究 a)被爆線量別核型異常の解析:本年度は放影研との共同研究を計画し各被爆者の骨髄線量を入手した。1963年より28年間に75名の直接被爆白血病患者と261名の急性白血病(1945年8月以前出生者)の染色体分析を行った。このうち16名は100ラド以上被爆,34名が1〜99ラド,25名が0ラドと推計されていた。染色体異常は100ラド以上で有意に高頻度であり、また複雑であることがわかった。また、染色体5および7の異常が高頻度に見られた。100ラド以上被爆群にはde novo白血病で高頻度にみられる8;21転座や15;17転座は1例もみられなかった。 b)F1白血病についての解析:平成2年2月にガ-ドナ-論文が発表され、放射線の次世代への影響が問題視されたので、被爆者の子供に発生した白血病症例の染色体異常について、これまでの資料をもとに解析を行った。1946年5月より1956年4月までに生れた人で30才になるまでに広島市内で白血病になった人は313名いたが、このうち両親のいずれか1人または両方とも被爆していたF1白血病患者は29名であった。このうち、20名について染色体分析を行っていた。慢性骨髄性白血病13名は全例Ph'染色体が見出され、1名にのみPh'以外の染色体異常がみられた。急性白血病7名のうち3名に染色体異常がみられた。F1白血病の染色体異常は非被爆群と頻度と質において差はなかった。 II)大線量被爆健康者に関する研究 ヒト正常胎盤基底膜に対する抗体(antiーBAST抗体)は急性および慢性白血病の約60%の症例に見出されるが、原爆被爆者においても被爆距離の近い程anti BAST抗体陽性頻度が高いことが明らかとなった。来年度は抗原の解析を行う予定である。
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