研究課題/領域番号 |
01480539
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
分子遺伝学・分子生理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小川 智子 大阪大学, 理学部, 講師 (80028208)
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研究分担者 |
小川 英行 大阪大学, 理学部, 教授 (70028207)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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キーワード | 大腸菌RecA遺伝子 / 緑膿菌RecA遺伝子 / キメラ蛋白質 / RecA蛋白質のドメイン構造 / RecA蛋白質のオリゴメリゼ-ション / 遺伝的組換え / SOS応答反応 / RecA gene of Pseudomonas aeruginosa / SOSresponce |
研究概要 |
本研究はDNAの遺伝的組換えと、細胞のDNA生じた傷害の修復に必要な機能の発現に中心的役割を果す、大腸菌RecA蛋白質の構造と機能の関連を明らかにし、これらの機構を分子レベルで解明することを目指して行なわれたものである。これらの反応にはRecA蛋白質がssDNAとATPとで形成した複合体が重要な働きをしているが、RecA蛋白質とATPやssDNAとの結合部位、また重合体形成やリプレッサ-の認識部位等についての理解は殆ど得られていない。これまで我々は、RecA遺伝子の変異株の分離とその位置の決定、それら変異の遺伝子内抑制変異の分離、RecA遺伝子部分欠質変異株を作製し、それらの遺伝的解析や変異蛋白質の生化学的解析を行なってきた。本研究は更に、蛋白質のドメインの解析を深めるために、機能的に非常に高い相同性を持ち、蛋白質のアミノ酸配列に適当な違いのある大腸菌と緑膿菌のrecA遺伝子を用いて一連のキメラを作成し、その結合部位と遺伝子性質の関連を調べ、次の結果を得た。(1)蛋白質の機能に協同的に働く部位を4箇所検出した。それらは蛋白質の構造上ル-プに存在し、活性蛋白質のグロ-バルな構造を決める上で重要な役割を担っている。(2)RecA蛋白質はアミノ酸番号30から260番目で一つの大きなドメインを形成し、この領域はRecA蛋白質の機能に対して中心的な役目を担っている。特に塩基アデニンとの結合部位や、ATPaseに必要なMgイオンとの結合部位を含む。一方、60から100番目にATPのガンマ-位の燐酸との結合部位がある。(3)オリゴマ-形成能を欠失した変異の単離は初めてであり、それらは30ー53と102ー113の領域に存在する。(4)これら変異RecA蛋白質のオリゴマ-形成にはATPとの結合による蛋白質の構造変化が重要な役目を果している。(5)1992年2月にATP非存在下で結晶化したRecA蛋白質の構造変化が発表された。その構造はRecA蛋白質の30から260番目の領域が一つの大きなドメインを形成していることを示し、また、我々のこれまでの解析から予測したオリゴマ-形成に関与する領域は、まさに結晶構造と一致していた。欠失変異、遺伝子内抑制変異とキメラ遺伝子の解析が蛋白質の構造を充分に予測できることが明らかになった。
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