小児アレルギ-疾患の易感染傾向に関する研究

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01480550
• 研究機関: 東邦大学
• 研究代表者: 小屋 二六 東邦大学, 医学部・小児科, 助教授 (40057592)
• 研究分担者: 笹本 明義 東邦大学, 医学部・小児科, 助手 (20187149) ; 飯倉 洋治 国立小児病院, アレルギー科医局・国立小児医療研究センター・免疫アレルギー部々長, 部長 ; 斎藤 誠一 東邦大学, 医学部・小児科, 助手 (90186940)
• キーワード: 気管支喘息 / アトピ-性皮膚炎 / アレルギ-鼻炎 / 易感染傾向 / 副鼻腔炎 / 紫外線照射 / NK活性

研究概要

小児アレルギ-疾患の代表である気管支喘息、アトピ-性皮膚炎、アレルギ-制鼻炎における感染症の合併の実態調査と易感染性を反映するパラメ-タ-について検討した。
1.アレルギ-性鼻炎で通院中の患者のうち鼻閉症状の強いもの30名についてWater's Viewx線撮影とCTスキャンによる副鼻腔撮影を行ったところ16名に明らかな上顎洞炎を認め、X線撮影とCTスキャンの診断一致率も70%と高い相関が認められた。
2.重症な気管支喘息の患児の中にはアレルギ-性鼻腔、副鼻腔炎を合併しているものがあり、そのうち3名について抗生剤(AMーPC)を2週間投与し副鼻腔炎を治療した。その結果、全員に治療後の喘息の重症度が減少した。副鼻腔炎の合併は、アレルギ-性鼻炎のみならず気管支喘息の重症化にも関係しているものと思われた。
3.以上の患児の中にはADCCやNK機能が低下しているものもみられ、ウィルス感染を合併しやすいものが多かった。
4.アトピ-性皮膚炎の原因として食物アレルギ-が最近注目されるようになったが、黄色ブドウ球菌などの感染を合併するものが多く、また感染後に皮膚炎が増悪することは非常に多い。こちらの患児に海水浴を行なったところ、食物制限は変化していないのに、皮膚炎が劇的に改善するものが多かった。海水浴を室内で再現するために海水浴を紫外線照射療法を施行したところ高い有効率が認められた。
アレルギ-性疾患の中にはウィルス、細菌、真菌などの感染に対して免疫力の低下したものがあり、疾患自体もこれらの感染後に増悪することが多い。食物やダニに対するアレルギ-をコントロ-ルするのと同時に、ウィルス、細菌、真菌などに対する感染(もしくはそれらの微生物に対するアレルギ-)をコントロ-ルすることは重要である。

研究成果

• [文献書誌] 小屋二六: "小児気管支喘息の遺伝的背景に関する研究(HLA集団調査)" 日本小児アレルギ-学会誌. 3. 61-64 (1989)
• [文献書誌] 飯倉洋治他: "アトピ-性皮膚炎の免疫学的背景" Progressive medicine. 9. 1803-1807 (1989)
• [文献書誌] Ikiura,Y.: "How to prevent Allevgic Disease,I Study of Specific IgE,IgG and IgG_4 Antibodies in Sevum of Pregnant Mothers,Cord Blood and Infants" Int,Arch,Allergy Appl.Immunol.88. 250-252 (1989)
• [文献書誌] Iikura,Y.: "Autigen Specific IgG,IgG_4 and IgE Antibodies:Measuvement in Pregnant Mothers,Third Cord,Blood,and their Children" Progress in Allergy and Clinical Immunology,Proceeding of the 13th International Congress of Allegyl Clincal Immunology,Hogrefel Hubee Poblishers,Edited by Coerner J.P etal. 299-303 (1989)
• [文献書誌] 飯倉洋治: "小児気管支喘息の漢方法療" 現代東洋医学. 10. 37-43 (1989)
• [文献書誌] 笹本明義: "気管支喘息と鼻アレルギ-との関係について" アレルギ-の臨床. 9. 44-46 (1989)
• [文献書誌] 飯倉洋治: "小児のアレルギ-疾患生活ガイド" 南江堂, 173 (1989)
• [文献書誌] 飯倉洋治: "アレルギ-に克つ生活術" 講談社, 222 (1989)