研究課題/領域番号 |
01480551
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
田渕 和雄 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (50116480)
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研究分担者 |
白石 哲也 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (70206275)
辻 武寿 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (40217302)
阿部 雅光 佐賀医科大学, 医学部, 講師 (20136427)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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キーワード | 脳腫瘍 / 癌遺伝子 / 癌抑制遺伝子 / PCRーSSCP / 細胞増殖期関連抗原 / P53 / Kiー67 |
研究概要 |
癌遺伝子に関する研究の急速な進歩に伴い、ヒト脳腫瘍についても、その発生、増殖、分化と種々癌遺伝子との係わりが次第に明らかになってきた。現在知られている癌遺伝子の多くは、元来、正常な細胞の増殖あるいは分化にとって、重要な役割を果たしている癌遺伝子(原型癌遺伝子)の変形である場合が多い。このような癌遺伝子の活性化が発癌に関与していると考えられる優性変異に加えて、癌抑制遺伝子の不活性化が直接発癌につながると思われる劣性変異によって説明可能なヒト脳腫が存在する疑が強くなってきた。我々は特に第17染色体短腕上に存在するP53遺伝子に焦点を絞り、脳腫瘍、なかでも神経膠腫の発生、増殖、分化との関連を検討した。P53遺伝子のように既知の遺伝子の変異を検出する方法として、PCRを応用し、PCRーSSCP解析法により、種々のヒト培養脳腫瘍細胞におけるP53遺伝子の変異の有無を検索した。 その結果、検索したヒト培養神経膠腫細胞の多くでP53遺伝子のエクソンワ,8で塩基の置換が惹起されていることが判明した。これらのP53遺伝子の変異は一定ではなく、各腫瘍細胞株間で異っていたが、こうした変異により変異P53蛋白が産生され、神経膠腫の発生に関与するものと推定している。現在、パラフィン包理組織よりPCRを応用してDNAを採取し、より多くのヒト脳腫瘍についてP53遺伝子の変異の有無並びに変異塩基の同定を試みている。一方、細胞増殖期関連抗原としてKiー67について種々検索を進めた結果、Kiー67蛋白はプレソボゾ-ム果粒の形成に関与している証拠が得られた。脳腫瘍細胞ではGCC1DD〜GCC2DD期を通して強く発現されるが、M期ではやや減弱する。しかしGCC0DD期の細胞には発現がみられないことから、Kiー67は脳腫瘍の増殖期の推定を行う上でよい指標になることが確認できた。Kiー67とPCNAとの関連性については今後更に検索を進めていく予定である。
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