研究概要 |
現在本邦においても高令者数は確実に増加しており,歯頸部の歯肉退縮に由来する根面齲蝕や歯根露出に伴う知覚過敏は増加の傾向が著しい。平成2年度は平成元年度に得られた成果を基として研究を推進したがその概要は以下の通りである。 即ち根面及び歯根面の齲蝕の進行ならびに形態学的変化は,従来報告されていた歯冠部エナメル質,象牙質の齲蝕と完全に異っていることが明らかとなり,逆行性に齲蝕病巣から根表面の進行があり得ることが明らかとなった。これらの成果は1991年の日本歯科保存学雑誌34巻に既に投稿した。また平成元年度にほぼ完成された根面塗布材及び塗布方法については同雑誌33巻に投稿した。即ち本材及び本塗布方法では生活歯の歯髄に何ら為害作用を及ぼさないことが明らかとなった.現在塗布方法により簡便で適切な工夫を行なうため,小筆等の改良を行なっている。また象牙質(根部)の構造と塗布方法との関連について検討を行ない,より永続性があり歯周組織を為害しないような方法を考案しつつある。
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