研究概要 |
1.分枝鎖ケト酸脱水素酵素(BCKDH)のE_1βサブユニットのゲノムDNAの全構造解明:E_1βサブユニットはメ-プルシロップ尿症の病因酵素の構成成分の1つであり、そのcDNAは昨年我々の手で世界に先駆けて解明された。今回、それのゲノムDNAを解析し、100kb以上の長さを有し10エキソンからなり、スプライシングドナ-,アクセプタ-サイトは全てGT/AGル-ルに従うこと、転写開始部位はコドン開始部位の47b上流、CAATボックスはキャップサイトの37,及び74b上流に存在するが、TATAボックスは存在していないことを見いだした。また本遺伝子は6番染色体上に存在することを解明した。 2.メノナイト メ-プルシロップ尿症の変異遺伝子の解明:メノナイト メ-プルシロップは米国ペンシルバニアの一地方にみられる極めて頻度の高い疾患で、これまで多くの研究者の注目を集めてきた。われわれは患者由来の培養細胞の遺伝子解析を行い、BCKDHのE_1αサブユニットのT→A変異により394番アミノ酸がチロシンからアスパラギンに変異していることを見いだした。さらに3家系の調査を行い、この変異が患者ではホモ、両親ではヘテロであることを確認した。 3.我が国のメ-プルシロップ尿症患者の変異遺伝子の解明:2家系について行った。第一の家系ではBCKDHのE_2サブユニットのスプライシング異常による78bの欠失が見いだされた。第二の家系では、E_1βサブユニットのリ-ダ-ペプチドをコ-ドする,エクソン1に11bpの欠失が見いだされた。いずれの家系でも両親が変異遺伝子についてヘテロであり、家族内にはホモもしくはヘテロが存在することを確認した。
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