種々のMn濃度のCdMnTeの発光の温度依存性、圧力依存性、線膨張計数の温度依存性、光学格子振動モ-ドのラマン散乱の温度依存性等の測定を行なった。励起子発光の温度依存性、圧力依存性にはあまり異常な振舞いはない。その温度依存性は格子間隔と電子格子相互作用によりほぼ説明される。しかしMn^<2+>のdーd遷移の発光と考えられている2.1eVの発光は60Kで最小となり異常な振舞いをする。また励起子発光の位置の圧力依存性dE_<ex>/dPはほとんど温度に依存しない。しかしMn^<2+>のdーd遷移の発光の位置の圧力依存性は2次関数的に〜80Kまでで4割ほどその値を大きくし以後室温まで単調に減少する。線膨張係数の温度依存性はMn濃度に対し多少その変化の割合を大きくするがMn^<2+>のdーd遷移の発光の位置の温度依存性を説明するほど大きくは変化しない。この混晶に於けるマラン散乱の光学モ-ドの自己主張型であり、CdTeとMnTeのモ-ドが存在するが、それらのモ-ドは共に異常な振舞いを示さない。これらによりMn^<2+>のdーd遷移の発光の温度依存性はMnの局所的な変化によるものと考えられる。この発光の形はPoisson型であり。これは配位座標模型で基底状態及び励起状態の最低点がずれている状態間の遷移であると考えられる。またこのモデルで発光帯の幅の温度依存性は〜80K以下でよく再現できる。しかし80K付近以上で、幅や位置の温度依存性がこのバンド間エネルギ-が変化しない配位座標模型では説明できなくなる。これらのことによりTe正四面体中心のMnが電子励起にともない低温では0.2A^^°の変位を示すが、80Kから300Kにかけてその変位が0.1A^^°程度まで減少すると考えられる。
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