研究課題/領域番号 |
01490002
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小林 大二 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (30001655)
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研究分担者 |
兒玉 裕二 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (70186708)
橘 治国 北海道大学, 工学部, 助手 (90002021)
油川 英明 北海道教育大学, 岩見沢分校, 助教授 (80002096)
石川 信敬 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (70002277)
笹 賀一郎 北海道大学, 演習林, 助教授 (70125318)
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キーワード | 渇水流出 / 渇水期水質 / 渇水流量日変動 / 蒸発散 |
研究概要 |
暖候期の渇水期の雨竜川源頭部において流出量と川水の比電導度の双方が、晴天日の夕刻に極小、早朝に極大となる日変動を示すことを先に報告した。今回は川水の化学成分を精査し、流量と水質の長期変動及び日変動における挙動に検討を加え渇水期の流出機構をより明確にした。 1)渇水期における一時的降水による増水は融雪期の増水に比べて非常に早い減衰を示し、2〜3日で流量は長期の減衰動向に戻る。同時に水質も降水による一時的変質から長期動向に戻る。 2)川水のイオン分析をHCO_3^-、Cl^-、SO_4^=,NO_3^-、Na^+、K^+、等について行った。総イオン濃度のうち当量において約2/3をHCO_3^-が占め、約1/3をCl^-が占める。比電導度の日変動は主としてHCO_3^-濃度の変動によることが判明した。 3)降水による一時的出水後の流量の減衰及びHCO_3^-、Cl^-イオン濃度の変動を利用して渇水期流出の2成分分離を行った。その結果降水の浅い滲透水の流出によると推定される早い減衰の水と無降水時のより深い地中水の遅い減衰の水とに分かれる。 4)蒸散による上記の浅層と深層からの流出成分比の日変動が、渇水期の水質の日変動を生じる要因になっているものと推察される。 5)天塩川支流の問寒別川支流においても流量、水質の日変動を観測した。 6)札幌近郊の森林2流域及び新潟県十日町市の森林流域において流量は日変動を示したが、水質は日変動しなかった。 渇水期の森林流域における水質の日変動の原因については、地中水の化学成分の植生による選択吸収の可能性もある。水質の日変動しない川も多く、渇水期の流出過程に関して未解明の部分が多い。研究の手法が判明しつつあり今後の研究が楽しみである。
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