研究課題/領域番号 |
01490004
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
富田 彰 東北大学, 非水溶液化学研究所, 教授 (80006311)
|
研究分担者 |
京谷 隆 東北大学, 非水溶液化学研究所, 講師 (90153238)
TOMITA Akira Tohoku University Chemical Research Institute of Non-Aqueous Solutions, Professo (80006311)
|
研究期間 (年度) |
1989 – 1990
|
キーワード | 2次元炭素 / 黒鉛層間化合物 / 2次電池 / テニオライト / サポナイト / 吸着 / 高配向性黒鉛 / 磁気抵抗 |
研究概要 |
新しい炭素材料の中でも最近注目を浴びているものに、低次元炭素がある。我々は粘土化合物を鋳型とした炭素製造法の研究を行い、2次元状炭素を合成するのに成功している。本研究ではこの特異な構造をもつ2次元炭素を出発原料として種々の物質を調製し、高機能炭素材料の開発を試みることが目的である。平成元年度では、この炭素にカリウム原子を挿入させた2次元状の黒鉛層間化合物の合成を試みた。 平成2年度では、合成した2次元状黒鉛層間化合物の2次電池としての応用を検討するとともに、種々の粘土を用いて新規2次元炭素の合成を試みた。また、2次元状炭素の電気的諸物性も測定し、以下の結果を得た。 1. 2次元状黒鉛を用いたカリウム層間化合物の合成を行い、一般の黒鉛と異なり、ゲストの挿入、脱離に伴う結晶破壊が少ないという特徴を見いだした。 2. 2次元状黒鉛ーカリウム層間化合物を用いて、リチウム2次電池としての性能を検討したところ、サイクル安定性、充電濃度などに優れた性質をもっていることが分かった。 3. テニオライトという粘土を用い、ポリフルフリルアルコ-ルの鋳型炭素化を行った。この粘土は結晶性・耐熱性がよいという特徴をもっているが、層間で生成した炭素前駆体は粘土の性質を強く反映しており、結晶性・配向性に非常に優れた黒鉛前駆体が得られた。 4. 結晶性のよくないサポナイトを用いて調製した炭素は予想通り結晶性が悪いが、この炭素は有機物を大量に取り込み、膨潤現象さえ示す特異な性質をもっており、特殊吸着剤などへの応用が期待できる。 5. 2次元炭素の磁気抵抗を測定したところ、炭素の厚みが薄く、電子波が黒鉛表面において散乱されるため、結晶性から予想されるより異常に小さい値が得られ、この炭素が2次元状である証左を与えた。
|