研究課題/領域番号 |
01490011
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮本 武明 京都大学, 化学研究所, 教授 (60027050)
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研究分担者 |
呑海 信雄 京都大学, 化学研究所, 教務職員
松本 陸朗 京都大学, 化学研究所, 助手 (20027064)
鈴木 秀松 京都大学, 化学研究所, 助教授 (00027054)
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キーワード | セルロ-ス / セルロ-ス誘導体 / セロビオ-ス / サ-モトロピック液晶 / コレステリック液晶 / カラムナ-液晶 / 水面単分子膜 |
研究概要 |
本研究の目的はセルロ-スに化学修飾反応を施して得られる誘導体分子鎖の剛直性と両親媒性に着目して、分子集合状態を制御し、その構造特性・機能特性を明らかにして、セルロ-スの高次機能化のための基礎的知見を集積することにある。 本年度は、セルロ-スに直鎖アルキル基をエ-テル及びエステル結合で導入した種々のモデル誘導体を合成し、サ-モトロピック液晶形成と液晶の構造特性及び単分子膜形成と膜の微細構造との関係について検討し、以下の成果を得た。 1.置換度(DS)=3のエ-テル誘導体はアルキル鎖CH_3(CH_2)_n-の炭素数nが6以上になるとサ-モトロピックコレステリック液晶を形成し、コレステリックらせんのピッチとセンス(向き)は側鎖の長さに鋭敏に依存する。温度変化により、センスの逆転現象が観察されるが、これはコレステリック液晶の準ネマティック層間のねじれ角の一様な変化として理解される。 2.エステル誘導体(DS=3)はコレステリックとは異なる新しいタイプの液晶相(カラムナ-液晶)を形成する。 3.セロビオ-ス(二重体)もその長鎖アルキル化によりサ-モトロピック液晶を形成するが、形成する液晶の特性はポリマ-(セルロ-ス)のそれとは全く異なる。特に、還元性末端にのみ長鎖アルキル基を導入したエ-テル誘導体は、従来知られていない液晶組織を示すことを見出した。 4.長鎖アルキル化誘導体はその両親媒性の故に、水面単分子膜を形成するが、電子顕微鏡の明・暗視野モ-ドで直接観察した結果、エステルとエ-テル誘導体では形成される単分子膜の微細構造は非常に異なることがわかった。前者は適当は表面圧(π)-面積(A)曲線のところで非常にきれいな均一膜を形成するが、後者は不均一膜しか形成し得ない。
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