動的分光トモグラフィによる物質系動態追跡法の研究

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01490013
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 南 茂夫 大阪大学, 工学部, 教授 (60028959)
• 研究分担者: 河田 聡 大阪大学, 工学部, 助手 (30144439) ; 内田 照雄 大阪大学, 工学部, 助教授 (60029155) ; 高木 俊夫 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (00029943)
• キーワード: 光トモグラフィ / 分析光学顕微鏡 / 光CT顕微鏡 / レ-ザ走査顕微鏡 / 蛍光寿命分布測定 / 物質動態・測定 / 画像処理

研究概要

われわれが開発した3次元トモグラフィ顕微方式に分光情報と時間情報を導入し、ミクロならびにメソスコピック領域での物質系動態を追跡可能なシステムの試作を行い、下記の成果を挙げた。
1)マルチイベント型タイムスライス顕微パタ-ン測定法の確立
2次元の顕微視野内でのタイムスライス測定法を確立するため、位相法とパルス法を原理とした2方式を開発した。前者は変調光に対する2次元試料上での位相変化をイメ-ジディセクタで検出する新手法であり、後者は光子列同時検出法を原理とした高感度ダイナミック法を採用したものである。両者を、ラベルされた有機物のライフタイムの2次元分布測定に応用し、サブナノ秒のタイムスライスに成功した。
2)シングルイベント型タイムスライス光CT顕微鏡の研究
活動中の微生物に含まれる物質動態を促えるため、4波長レ-ザを用いたビデオレ-トでのCTを目指すシステムを試作した。シングルイベントのタイムスライスでは検出光強度に問題があるため、白色光源に代えてHeーNe4波長レ-ザを採用すると共に回転プリズムによる偏斜照明系を併用した。初期段階として低速走査を用い、90×90×36ボクセル、分解1〜2μmの3次元像を得ることに成功し、更にシャッタ付CCDと高速走査の併用システムについて実験を遂行中である。
3)共焦点レ-ザ走査顕微鏡によるタイムスライストモグラフィの研究
われわれは蛍光型の標記顕微鏡について理論解析を進めてきた。今回は、タイムスライスシステムでの光量不足に対処するため、アパチュアサイズと3次元分解能の相互関係について計算を拡張し、良好な解析結果を得ることができた。既に1)でえられたマルチイベントタイムスライスの手法と顕微鏡本体とを結合させ、ライフタイムの3Dパタ-ンを取得しうるシステムを検討中である。

研究成果

• [文献書誌] X.F.Wang,T.Uchida and S.Minami: "A Fluorescence Lifetime Distribution Measurement System Based on Phase-Resolved Detection Using an lmage Dissector Tube" Applied spectroscopy. 43. 840-845 (1989)
• [文献書誌] X.F.Wang,S.Kitajima,T.Uchida,D.M.Coleman and S.Minami: "Time-Resolved Fluorescence Microscopy Using Multichannel Photon Counting" Applied Spectroscopy. 44. 25-30 (1990)
• [文献書誌] K.Sasaki,S.Kawata and S.Minami: "Component Pattern Analysis of Spectral and Spatial Patterns in Multispectral Images,II.Entropy Minimization" J.Opt.Soc.Am.-A. 6. 73-79 (1989)
• [文献書誌] 河田聡,南茂夫: "光学走査顕微鏡" 光学. 18. 380-391 (1989)
• [文献書誌] 河田聡,南茂夫: "3次元断層観察のための光顕微鏡システム" O plus E. 113. 87-93 (1989)
• [文献書誌] O.Nakamura,S.Kawata and S.Minami: "Multispectral Computed-Tomography Microscope For Three-Dimensional Material Aralysis" Appl.Opt.29. 12 (1990)
• [文献書誌] 南茂夫(分担執筆): "レ-ザ-ハンドブック(矢島達夫ほか編)" 朝倉書店, 780 (1989)
• [文献書誌] 南茂夫(分担執筆): "光波利用ゼンシング" オ-ム社, (1990)