研究課題/領域番号 |
01490018
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
西中川 駿 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (70041639)
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研究分担者 |
松元 光春 鹿児島大学, 農学部, 助手 (30157383)
本田 道輝 鹿児島大学, 法文学部, 助手 (20145452)
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キーワード | 古代遺跡出土骨 / 在来牛 / 在来馬 / 渡来経路 / 渡来時期 / 形態計測学 |
研究概要 |
わが国の牛、馬の渡来の時期とその経路を明らかにするために、本年度は、全国の遺跡からの牛、馬に関する遺物の出土状況を調査すると共に、在来牛、在来馬の骨ならびに出土骨を肉眼的、計測学的に検索し、以下の結果を得た。 1.牛、馬の遺物の出土状況については、過去の調査の再確認を行ったが、全国39都道府県から報告が寄せられ、東京、奈良、千葉、愛知などで、多数の出土のあったことがわかった。また、東北、北陸、中国、四国、九州の各県を現地調査したが、弥生時代以前の出土例は極めて少なく、東京都伊皿子貝塚出土の牛骨が最も古いもので、殆んどが奈良から中世のものであった。また、南方説にあたる与那国、宮古、石垣、沖縄本島を現地調査したが、グスク時代(13〜16世紀)のもののみで、それより以前のものは確証が得られなかった。 2.在来牛、在来馬の骨について、これまで収集した口之島牛、見島牛および現代和牛に例数の追加を行い、また、在来馬では御崎馬、木曽馬、トカラ馬などの骨について、実測値、主成分分析での比較を行い、さらに骨の幅、径から骨長、体高の推定式を作成し、出土骨に応用し、有効な結果を得た。なお、与那国馬(4)、宮古馬(3)は現在集計中である。 3.これまで調査した九州の出土骨に加えて、本年度は奈良時代の藤原京跡(奈良)、印内台(千葉)および須和田遺跡、中世の千葉地東遺跡(神奈川)などから出土した牛、馬の骨について、形態計測学的に調査した。牛は在来牛と現代和牛(雌)との中間の大きさであることがわかり、馬は御崎馬や木曽馬と同じ中型馬が多く、トカラ馬のような小型馬は少なかった。 次年度は、わが国の牛、馬の出土骨の形態や出土時代を明らかにするために、全国各地、特に関東、関西の出土骨について調査する予定である。
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